『だが しかし』内田麟太郎文、西村繁男絵、文溪堂、2010 amazon
「だが」が口ぐせの駄菓子屋さんのダガさんと、「しかし」が口ぐせの歯科医のシカシさんが、旅に出ました。
ダガさんが「なんと みごとな おやまじゃないか」と言うと、シカシさんは、「しかし、しゃみせんは ひけんよ」と返します。シカシさんが「いいえだぶりの まつだ」と言ったら、「だが、はなが さいてない」とダガさん。
「だが」も「しかし」も、逆接の接続詞。せっかく一緒に旅に出たのに、ダガさんもシカシさんも、相手の発言に「だが」「しかし」とすぐ難癖をつけ、ちっとも共感し合えません。
二人の旅は、どんどん険悪なムードになってきて、とうとうけんかにまで発展してしまうのですが、そのかみ合わない様子や意表をつく「だが」「しかし」に続く言葉には、思わず笑ってしまいます。
また、面白さを倍増させる絵にも、はまっちゃいます!
たとえば、シカシさんが「にっぽんいち はやいでんしゃだ!」と言い、「だが、あしが ない」とダガさんが返す場面では、新幹線と白馬に乗った侍が競争していて……。現代と昔が入り混じっていて、とても楽しいです。
「動物」「侍」「水戸黄門」「UFO」「だるま」「おばけ」など、いろいろなものが登場するありえない旅に、あなたも出かけてみませんか?
にこっとポイント
- 「だが」が口ぐせのダガさんと、「しかし」が口ぐせのシカシさんが、おかしな旅に出るナンセンス絵本です。
- 細かい部分まで笑いの要素が散りばめられている絵をじっくり見るのも、おすすめです。
(にこっと絵本 SATO)