『おやすみ、はたらくくるまたち』シェリー・ダスキー文、トム・リヒテンヘルド絵、福本友美子訳、ひさかたチャイルド、2016 amazon
広い広い工事現場。昼間は、ビルを建てたり道をつくったりと、力持ちの車たちはせっせと忙しく働いています。そして、日が沈むころにはその日の仕事も終わりに近づきます。
一台一台がゆっくりと仕事を終え、眠りにつく様子に、絵本を開くわたしたちも穏やかな眠りに誘われます。
一生懸命がんばった一日の終わりに、穏やかな「おやすみなさい」
この絵本には、クレーン車、ミキサー車、ダンプカー、ブルドーザー、ショベルカーなどの働く車たちが登場します。
子どもたちが大好きな働く車たちですが、その大活躍!…… ではなく、車たちの仕事終わり、穏やかな一日の終わりをこの絵本では描いています。
「おやすみ、ショベルカー、おやすみ」とくり返すように車たちに向けられていたことばが、やがて絵本を閉じるころには子どもたちに問いかけることばになります。
働く車たちとともに、まぶたの重くなった子どもたちは穏やかな眠りにつくことができるのです。
大人も共感できる、働く車たちの眠りにつく姿
実は、この絵本、大人目線でも共感ポイントがあります。それは、働くことを知るからこその、1日の終わりを充実した思いで迎える幸福感を知っていること。経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。疲労感の中、ぐっすりと眠りに落ちていくときのなんともいえない心地よさを。
そんな風に考えていると、なんだか働く車たちが人間のようにも思えてくるのです。
たとえば、ダンプカーが眠りについて大きないびきに変わっていく場面。近所の人に「うるさい!」なんて言われてしまっている様子は、なんだかお父さんの姿のようにも感じます。
このように、『おやすみ、はたらくくるまたち』は、子どもたちと読みながら、大人もゆったりとした気持ちで眠りにつける、親子で楽しめる絵本なのです。
にこっとポイント
- 働く車が大好きな子どもたちは、大喜び。大好きな車たちとともに穏やかな1日の終わりを感じることができます。
- ボードブック版もあるので、外出のときや読み聞かせのときにも気軽に扱えます。
- シリーズで、『おはよう、はたらくくるまたち』『はたらくくるまたちとちいさなステアちゃん』『はたらくくるまたちのかいたいこうじ』『はたらくくるまたちのクリスマス』もあります。
(にこっと絵本 Haru)