『すきですゴリラ』アンソニー・ブラウン作、山下明生訳、あかね書房、2019 amazon
ゴリラが大好きな女の子、ハナ。ゴリラの本もいっぱい読んだし、ゴリラのテレビもいっぱい見たし、ゴリラの絵もいっぱい描いたけれど、ハナは、まだ一度も、生きているゴリラを見たことがありません。忙しいお父さんは、ハナを動物園に連れていってくれるひまもないからです。
だけど、ハナのお誕生日の前の晩、不思議なことが起こって……。
リアルなゴリラと、隅々まで楽しめるユーモアたっぷりの絵
どうやらハナは、お父さんと二人暮らしのよう。なのに、お父さんにちっともかまってもらえず、寂しい気持ちを抱えています。
そんなハナが出会うゴリラは、とても表情豊か。ゴリラの毛並みがどうなっているのかまで分かるほど緻密に描かれた迫力のあるゴリラは、とても魅力的なんです。
また、各ページの背景でも、ゴリラと出会うことができます。壁にかかった絵やランプシェードなど、様々なところにいろいろなゴリラが描かれていて、「あっ、ここにもいた!」と「隠れゴリラ」を見つけるたび、うれしくなります。
読み返すと、一度目で気づかなかった発見もあり、何度でも読みたくなりますよ。
また、実は、上でご紹介した表紙は新装版のもので、旧版は1985年に出版されています(『すきですゴリラ』は、ケイト・グリーナウェイ賞などを受賞している、世界的にも愛され続けているロングセラーなのです)。
旧版の表紙では、ハナとゴリラが木の枝に、楽しそうな表情でぶら下がっています。
こちらも遊び心は健在で、よく見ると、背景のシルエット部分の中にもゴリラが描かれていますよ! 図書館などで絵本を手に取る機会があったら、どこにゴリラが描かれているのか、ぜひ確認してみてくださいね。
お父さんたちからの反響
この絵本を読んだおはなし会に、子どもと一緒に参加していた父親からは、こんな反響がありました。
- もう一度、家で親子で読んでみたいと思った。
- 私自身も印象に残る絵本だった。
- 絵本の父親みたいに、娘にに寂しい思いをさせてないかな? と考えた。
『すきですゴリラ』は、普段絵本を読んでいないお父さんにも、おすすめしたい絵本です。
にこっとポイント
- ユーモアたっぷりの絵と、あたたかい気持ちになれるラストが素敵な絵本です。
- お父さんにもおすすめの絵本です。
- アンソニー・ブラウンの絵本は、他に『ボールのまじゅつしウィリー』『おんぶはこりごり』『びくびくビリー』等、多数、出版されています。
(にこっと絵本 SATO)