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ブルーベリーもりでのプッテのぼうけん

『ブルーベリーもりでのプッテのぼうけん』エルサ・ベスコフ作・絵、おのでらゆりこ訳、福音館書店、1977 amazon

プッテは、かごを二つさげて、森へ行きました。ブルーベリーとこけももをつんで、お母さんの誕生日の贈りものにするためです。

けれども、一つも見つかりません。プッテの目から、涙があふれてきます。

そこで声をかけてくれたのが、小人のおじいさんでした。

おじいさんは、ブルーベリーの森の王様です。王様が杖でプッテに触ると、プッテも王様ぐらいに小さくなって…… さあ、プッテの冒険の始まりです。

プッテのかごを運んでくれるリスに、車をひいてくれるねずみ。ブルーベリーやこけももの子どもたちと遊ぶ、木の皮のヨットに、クモの巣のブランコ。そして、おいしいブルーベリーに、はちみつこけもも。

こんなふうに、わくわく、うっとりするものが、たくさんたくさん出てきます。

横長の絵本の右側だけが使われ、植物や虫などの装飾が施された枠の中に、絵と文の両方がおさめられているのが印象的。絵は、黒インクのペンで輪郭が描かれ、そこに優しい色が塗られています。

「本当っぽいから、夢じゃない!」

プッテは、小人のみんなにさよならを言った後、気づけば、王様と出会ったきりかぶに腰かけていました。

ところで、以前この絵本を読んでいたとき、ここで「えっ、夢!?」と叫んだ女の子がいました。

実は、プッテも、そう思ったのです。けれども、赤い実と青い実の入った二つのかごが、足元にありました。夢じゃなかった……!?

後で、その女の子は、「夢にしては、本当っぽいと思ったんだ!」と興奮気味に話してくれました。自分の見ているアニメと違って、葉っぱや虫がリアルだから、プッテは本当に魔法の国に行ったに違いない…… 。「あの葉っぱ、チクチクするもんね」。

当然ですが、絵本は無音無臭、出てきた物に実際に触れることはできません。けれども、その女の子や多くの読者たちは、植物のにおいや通り抜ける風、自分と同じサイズの虫たちの気配を、ありありと感じているのだと思います。

ベスコフの、ていねいで写実的、そしてあたたかな絵のなせる業、とも言えるでしょう。

どこかなつかしく、読むと穏やかな気持ちになるためか、高齢の方にも喜ばれる絵本です。ひとときの冒険、お母さんのお誕生日のお祝いを、どうぞお楽しみください。

にこっとポイント

  • お母さんの誕生日プレゼントを探しに森を訪れた男の子の、冒険を描いたファンタジーです。
  • 写実的で美しい絵は、なつかしさも感じさせます。小さな子から高齢者まで、幅広い世代に喜ばれます。

(にこっと絵本 高橋真生)

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