朝、車に乗ると、フロントガラスに霜が降りて凍っていました。寒い冬がやってきましたね。
小さい頃は、通学しながら水たまりの氷を触ったり、霜柱をザクザクと踏んだりして、「凍る」ことが楽しくて仕方なかったですが、大人になると「凍る=寒い」で、なかなか楽しい気持ちにはなれないもの。
そんなときには、ご存じバムケロシリーズの冬の物語はいかがでしょう?― 『バムとケロのさむいあさ』。
『バムとケロのさむいあさ』島田ゆか作、文溪堂、1996 amazon
ある朝バムが目覚めると、鼻の先がとっても冷たい。こんな日は、裏の池もきっと凍っているに違いない。さっそくスケートと釣りの道具を持って、ケロちゃんとおでかけです。
そうして凍った池で発見したのは、なんと、池と一緒に凍り付いたあひるなのでした。
慌てて助けたバムとケロ。お家に連れて帰って、温かいお風呂に入れてあげます。
あひるの名前は「かいちゃん」。夜遅くまで星を見ていたら、凍り付いてしまったらしい。
ケロちゃんはかいちゃんが気に入って、一緒に遊んだりおやつを食べたりいたずらしたりして、そばから離れようとしません。だんだんと夜が更け、翌朝、目覚めると、かいちゃんはお礼の手紙を残していなくなっていたのでした。
悲しむケロちゃんでしたが、この続きは、前日よりもっと驚く展開に……。
とにかく描き込みが楽しいコチラのシリーズ。今回も、随所に見逃せないポイントがたくさんあります。
そして、天真爛漫に自由すぎるケロちゃんに、あきれつつも優しくフォローするバム、二人のやりとりにも心があたたかくなりますよ。
それから、裏表紙にもご注目。これでは、魚はつれませんね(笑)。
にこっとポイント
- 仲良しのバムとケロが、寒い朝、池と一緒に凍り付いてしまったあひる「かいちゃん」を見つけます。描き込みが楽しい、心があたたかくなるお話です。
- このシリーズのお楽しみのポイントは、サブキャラクターの存在です。池で凍り付いてしまった天体観測が趣味のあひる「かいちゃん」、3本耳の「おじぎちゃん」、バムとケロと同居する小さな犬「ヤメピ」、森にすむネズミ「マウ」。私的には、「マウ」が、凍り付いているかいちゃんを助けようと、熱々のやかんを持ってきて氷の上に置いて、だけど氷が融けて池の中に沈んてしまう…… という場面がたまらなく愛おしいです。ぜひ探してみてくださいね
(にこっと絵本 森實摩利子)