下の表紙の白い羊がルーシーです。そして、ルーシーと手をつないでいるのが、子牛のトミー。これは、ルーシーとトミーの物語です。
『ルーシーといじめっこ』クレア・アレクサンダー作、福本友美子訳、BL出版、2014 amazon
ルーシーは、ある日、先生にほめられた工作のクロウタドリを、トミーに壊されてしまいます。ルーシーは、そのことをお母さんに言うことができませんでした。クロウタドリも、自分で直そうとしましたが、元通りにはなりませんでした。
実は、ルーシーは、みんなから絵をかいてほしいと頼まれるほど絵を描くのが大好きで、上手。トミーは、それが面白くありませんでした。トミーのルーシーへのいじめは、そこから始まったのです。
毎日、本が破られたり、絵がくちゃくちゃになっていたり……。ルーシーは、どんどん悲しそうな顔になっていきます。それでもルーシーは誰にも言えません。
いじめとなるきっかけや、日常化してしまう様子、誰にもSOSを出すことができないルーシーの姿が、具体的に描かれているので、いじめられた経験がない子どもでも、状況がよくわかります。
また、ルーシーだけでなく、トミーが学校に行くのを嫌がっている様子など、いじめっ子側についても描かれているので、読者は、両方の気持ちを考えることができます。
相手を思いやることや、間違っていたと思ったら素直に謝ることの大切さなど、いじめられたり、いじめてしまったりして、子ども自身がどうしたらいいのか分からなくなったときの解決のヒントにもなる物語です。
にこっとポイント
- 先生にほめられた工作を、子牛のトミーに壊されてしまった羊ルーシーのお話です。
- 親しみやすい動物たちが登場し、明るい色彩で描かれているので、手に取りやすいです。いじめのない心地のよい居場所をつくるには、どうすればいいかを話し合うきっかけにもなります。
(にこっと絵本 SATO)