春はこころが動く季節。ワクワク楽しみなこともあれば、別れの悲しみもある。将来への不安や怖さを感じることもあるでしょう。
ポジティブでもネガティブでも、自分の感情に名前がつくと、変に抑え込もうとせず、ありのままを受け入れることに一歩近づけます。
感情を、ことばと色によって表現している作品をご紹介します― 『いろいろいろんな日』。
『いろいろいろんな日』ドクター・スース作、スティーブ・ジョンソン、ルー・ファンチャー絵、石井睦美訳、 BL出版、1998 amazon
こころが動く、気分が変わる。そう、いろんなぼくがいるんです。
きれいに赤い気分の日は、馬のように思い切り跳ね回ろう。空みたいに青い日は、鳥のように羽ばたこう。黄色い日はにぎにぎしい蜂で、灰色の日は世界が止まったまま。
詩で動物の動きを表現し、色で感情を表現しています。
そして、まぜこぜの日。自分で自分の感情を持て余した日。だけど、徐々に澄み渡ってくる― そこには、いろんな色をしたぼくがいる……。
感情とは複雑なもので、次々と生まれては、本人も「無自覚」のうちに消えていくものだったりもします。
だからこそ、自分が味わう感情の一つ一つを大切にしたいなと思います。
にこっとポイント
- 感情を、ことばと色によって表現している作品です。詩で動物の動きを表現し、色で感情を表現しています。
- 自分理解に勤しむ、思春期を迎えた子どもさんにそっと手渡したい作品かもしれません。「あ、この感じわかるな……」という体験が、子どもと大人の間でもて余す感情の揺れに、そっと寄り添ってくれるでしょう。
(にこっと絵本 森實摩利子)