PICK UP! 空のきれいな季節に……「飛ぶ」絵本
せかい1おいしいスープ

『せかい1おいしいスープ』マーシャ・ブラウンえ、わたなべしげおやく、ペンギン社、1979 amazon

ある村へ、3人の疲れた兵隊たちが入って行きます。

村人たちは、兵隊たちが大事な食べものを要求するに違いない、と全て隠してしまいます。ですから、兵隊たちは、訪ねたどの家の人からも「何もありません」と断られてしまうのです。

しかし、兵隊たちは名案を思いつきます。なんと、「石からおいしいスープを作る!」というのです。

村人たちが興味を示さないわけはありません。「王さまと食事をしたときも、王さまはこんなスープをご注文になった」というような話を聞いて、いろいろな食材を持ち出して、協力してくれるのでした。

実際に読み進めて行くと、そのスープは確実においしいということがわかります。

大喜びの村人たちは、兵隊たちに特上のベッドまで用意し、兵隊たちが村を離れるときは、感謝のことばで見送ります。

いろいろな読み方のできる絵本ですが、兵隊たちの最後の一言がこの絵本のスパイスになっています。

にこっとポイント

  • 民話を元にした物語で、絵を手がけたマーシャ・ブラウンは『三びきのやぎのがらがらどん』でお馴染みです。全編通して、黒・白・オレンジ・灰色の4色で描かれています。
  • 初版はアメリカで1947年に、日本では1979年に発刊されました。原題は『STONE SOUP』(石のスープ)ですが、訳者の渡辺茂男さんは日本の幼い読者のことを考えて『せかい1おいしいスープ』とされたそうです。こちらは絶版ですが、『せかいいちおいしいスープ』という小宮由さんの新訳が岩波書店から出ています

(寄稿: 絵本専門士<東京都> 鴫原晶子 / 保育者養成校講師)

マーシャ・ブラウンの絵本

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