2020年、ペク・ヒナさんは、絵本界のノベール賞と言われる「アストリッド・リンドグレーン賞」を受賞しました。
ペク・ヒナさんは、自称「人形いたずら作家」。『天女銭湯』や『あめ玉』などの絵本では、人形で、見事にその表情を引き出しています。
そんなペク・ヒナさんが、イラストを描いた絵本もあります。まだ日本では出版されていないため、私・森島がハングルを読み解き、ご紹介します。
その絵本は、『ピヤギのママ』。
『ピヤギのママ』ペク・ヒナ作、bearbooks、2018 amazon
※韓国語の絵本を筆者が翻訳してご紹介しているものです。
主人公は、意地悪で食いしん坊のねこ・ニヤン。絵本の表紙を見てください! とても意地悪そうですね~。
ニヤンの大好物は、産みたての卵。ある日、その卵を見つけ、大喜びで食べました。
でも…… おなかが違和感満載!!
「おかしい」「変だ!」と思っているうちに、時が流れます。それとともに、だんだんおなかが膨れます。
おなかの中では、なんと、卵が成長中。そしていよいよ、出産です(えー!?)。
もう、痛いのなんの。ニヤンは走ります。
そして何とか、黄色と黒いぶちのかわいいひよこが生まれました。ひよこです。
まさかひよこが! 二ヤンは驚きました。
ひよこの名前は、ピヤギです。かわいいピヤギは、二ヤンになつきます。ひよこの習性は、「初めて見たものは母親と思う」ですから……。
ニヤンは戸惑うも、だんだん愛情がわいてきます。
そして、ピヤギに生きていく方法を教えることにしました。餌のありか、車が通るときや、天敵の前を行くときに注意すること……。
世界の違う、ねことひよこが生み出した、心温まる物語です。
意外にも、正反対もの同士が上手くいく場合がある― 自分と違う考えを受け入れてみるのも視野が広がり面白いのかもしれませんね。
にこっとポイント
- 意地悪ねこが、奮闘して子育てをする姿に、温かい気持ちになれます。
- まだ日本語版が出版されていない絵本ですが、ハングルでも、ペク・ヒナの絵を愛でながら、絵本を楽しむことができます。
(寄稿:絵本専門士<沖縄県> 森島幸代・えほん とんとんみーず)