少し前に、お出かけ先で桜の花を見つけました。今年初めてみた桜の花です。
満開の桜はもちろんきれいですが、咲き始めの感じも控えめで、私は好きです。
その花の周りをせわしなく飛び交う虫たちの様子を見て「あ、あの絵本と一緒!」とうれしくなりました。『はじめまして』です。
『はじめまして』近藤 薫美子作・絵、偕成社、2014 amazon
春になって、桜の花が咲き始めると、虫たちが「はじめまして」とやってきます。
同じ木に咲いたとしても、一輪一輪は違う花。虫たちはそれぞれの桜にあいさつをします。
「さいたね」
「はじめまして。いただきます」
「よろしく」
お話は、そんなふうに、移り変わる四季を追いかけて進みます。
花が散るときは、風とはじめまして。緑生い茂る夏、たくさんの虫たちとはじめまして。紅葉の秋は、色づいた葉っぱが大地とはじめまして。冬になれば、ひとひらの雪とはじめまして。
深い雪に包まれた日から、また新たな春を迎え、そうしてまた新しい花が咲くのです。たくさんのたくさんのはじめましてに囲まれて、日々は進んでいきます。
あなたの町の桜は、いつ頃咲くでしょうか?
そして、出会いの季節でもある春。
あなたの周りにはどんな「はじめまして」があるでしょうか?
にこっとポイント
- 移り行く季節と、たくさんの「はじめまして」を描いた絵本です。
- 虫好きの子にも見てほしい。とにかくたくさんの虫たちが描かれています。みんな一言つぶやいているのも面白いところ。
- 虫嫌いの方は、少しどきっ!とするかもしれません。
(にこっと絵本 森實摩利子)