クリスマスに、かわいい手袋が欲しいお姉ちゃんと、サッカーボールが欲しい弟。
『ふくびき』くすのきしげのり作、狩野富貴子絵、小学館、2010 amazon
でも、おかあちゃんは自分のお願いをなかなか言ってくれません。
「おかあちゃんは、なんでもじぶんのことは あとまわしなんや」
おかあちゃんが欲しい物は新しいバッグです。お姉ちゃんは知っていました。
そうだ! おこづかいが二人で80円あるからバッグを買いに行こう、ときょうだいは街に出かけます。でも、たとえ大売出しでも、80円で買えるバッグはありませんでした。
しょぼんとしていると、お姉ちゃんが「ええこと」を思いつきます。
それは、おかあちゃんと買い物に行った時にもらった福引の券。福引で、景品のバッグを当てようという作戦なのですが、お姉ちゃんが持っていたのは補助券で、10枚集まらないと福引ができないのでした。
がっかりして帰る道すがら見つけたのは、一枚の福引の券。さてきょうだいは、福引ができるのでしょうか?
子どもたちのおかあちゃんへの優しい気持ちと、それを助ける町の人たちとの心の交流が描かれたこの作品。
大切な人を喜ばせたいという気持ち、その気持ちを叶えてあげたいと助け合う気持ち、正直であることの大切さが、まっすぐにこころにトンと響いてくる感動作です。
にこっとポイント
- 子どもたちの正直さやそれを見守る大人たちの優しさを感じ取っていただきたいこの作品。まずは大人が、丸ごと作品を味わうことをおすすめします。
(にこっと絵本 森實摩利子)