『ゆきって なあに?』ユーヴァル・ゾマー作、木坂涼訳、国土社、2023 amazon
春に生まれたキツネとウサギ。一緒に夏を過ごすうちに、すっかり仲良くなりました。
そんなふたりに、渡り鳥のアジサシは「きみたちは いいね。ゆきが ふっても、とんだり はねたり できるからさ」と声をかけます。
「ゆき? ゆきって なあに?」― 雪を知らないふたりは、クマに聞いてみることにしました。クマは、「ゆきっていうのはさ、しろいんだ。きみたちの からだの いろみたいにね」と教えてくれました。
ふたりが先へ歩いていくと、白い物を食べているトナカイに出会います。
「それって、ゆきですか?」と聞くと、トナカイは「いいや、これは はなだよ。ゆきっていうのはさ、つめたいんだ」と返事をしました。
クマもトナカイも、それぞれの視点でわかりやすく教えてくれるのが素敵ですね。さて、キツネとウサギは、本物の雪を見つけることができるのでしょうか。
『ゆきって なあに?』は、自然環境に注目し、動物や昆虫などを題材にした児童書を描いているイギリスの絵本作家ユーヴァル・ゾマーの作品です。
落ち葉舞う夕暮れの場面、鳥がたくさん描かれた森の奥の場面、サケと出会う小川の場面など、どのページも自然の描写が、とても美しいです。
そして、その大自然の中で、キツネとウサギが、まだ見たことのない雪を探して歩く様子が、生き生きと描かれているのも魅力です。
キツネとウサギと一緒に森を巡りながら、雪を心待ちにしつつ、わくわくできる物語です。
にこっとポイント
- 雪を見たことがないキツネとウサギが、動物たちから教えてもらった手がかりから、雪を見つけるおはなしです。ふたりを見守る動物たちとの関係性にも、あたたかい気持ちになります。
- 見開きを3場面に分割して描かれているページがある等、時間の流れが分かりやすいように工夫されています。
(にこっと絵本 SATO)