PICK UP! 空のきれいな季節に……「飛ぶ」絵本

月旅行がだんだんと現実味を帯びてきた現代ですが、1969年、はじめて月面着陸を成功させまた地球へと帰還したのは、アポロ11号です。

その行程を、まるでその時代にいるような、また宇宙飛行士と同じ目線からも体感できるのが、『月へ』です。

月へ

『月へ』ブライアン・フロッカ作・絵、日暮雅通訳、偕成社、2012 amazon

その頃は、月へ着陸し、また生還することが偉業であった時代です。

たくさんの訓練と知識でそれを為し得た宇宙飛行士たち、それを支えた飛行管制センターのメンバー、固唾を飲んで見守った人たち。多くの人が関わりながら実現したこの月への旅行を― 一つ一つの過程を― 迫力のある、落ち着いた真摯な絵で描かれた絵本を通して、つぶさに体験することができます。

月へ_中ページ

たとえば、ロケットを何段階かに切り離しながらやっと宇宙へと至ること、皆さんは知っていましたか?

だんだんと高度を増し、星の広がる広大な宇宙へと飛び出していく場面は、美しく感動的です。また、そのロケット内部での宇宙飛行士たちの、その無重力感、食事、睡眠、トイレなんてことも細かに描写されているので、読んでいて新鮮です。

月に立つ宇宙飛行士が見上げた先の、青い地球。暗いくらい宇宙の中に浮かぶその美しさを、誰もが味わうことのできる未来が、待ち遠しくなります。

わたしのおすすめは、ロケットの発射カウントの「3…、2…、 1…」「ゼロ」という場面。一人の宇宙飛行士の目線がこちらを向いているのです。まるで、『君も、俺についてこいよ』とでも言うように。絵本を通して彼と目があったとき、宇宙への想いと挑戦することへの勇気が湧いてくるようです。

にこっとポイント

  • 初めて月面着陸を成功させたアポロ11号の軌跡を、絵本を通して辿ることができます。
  • 東京・お台場の日本科学未来館では、「NEO 月でくらす展」が開催されています。この特別展では、来たる未来2040年に宇宙開発で月面移住をする開拓者となって、月面での暮らしを体験できます。この絵本を読んでからイベントに参加してみると、子どもたちの宇宙への興味がさらに深まるはずです。

(にこっと絵本 Haru)

おすすめの記事