山また山の奥山の村はずれにあるどろぼうがっこうでは、一年に一度の大運動会をしていました。
『どろぼうがっこう だいうんどうかい』かこさとし作、福音館書店、2013 amazon
村の人たちがお弁当を持って集まってきて、くまさか校長先生の開会の挨拶、どろぼうがっこう応援歌と続き、いよいよ開幕です。
始まった競技は、「ドルばこリレー」や「ニセさつわたし」「逆どろけい」など、泥棒ならではのものばかり。読み手も白熱してしまいます。
「あきすおんど」を踊ってお昼の休憩に入ったところで、事件がおきますが…… その顛末もどろぼうがっこうならではのもの。
このどろぼうがっこう、実は、刑務所から全員が無事戻ったばかり。くまさか先生の開会の挨拶でこの事実が明かされ、読み手としてはさっそくのツッコミどころという感じです。
おすすめなのが、どろぼうがっこうで歌われる3曲の歌。「走れや 逃げろ」「運べ いただけ」なんて歌詞も出てくる「どろぼうがっこう 応援歌」。
「空き巣音頭」に「泥棒学校 校歌」の歌詞も、なんとも泥棒らしくって、「すきさえあれば ぬすみあい ヤア! ヤア! ヤア!」なんて泥棒たちの野太い声が運動場に響き渡っているかと想像すると、笑いがもれてしまいます。
村人たちも空き巣音頭に加わり、一緒に踊るくらいですから、きっと村の人たちにも愛される、愛嬌のある泥棒たちなのですね。
そんな陽気さのあふれる、どろぼうがっこうの運動会。にぎやかで、私たちの知るものとは一味違う運動会の様子を味わうことができますよ。
にこっとポイント
- 陽気などろぼうたちの楽しい運動会の様子に、くすっと笑える絵本です。
- ちょっと悪いことが楽しい! とお父さんや男の子にも人気の絵本です。
- かこさとしさんの長く愛されている「どろぼうがっこう」のシリーズです。本作が気に入ったら、シリーズで楽しんでみるのもおすすめです。
(にこっと絵本 Haru)