4月2日は、世界自閉症啓発デーです。全国各地で様々なイベントが開催され、「癒やし」や「希望」などを表すブルーに各地のランドマークが染まります。
以前、自閉症のことがよくわかる『すずちゃんののうみそ』を紹介しましたが、今回は、自閉症やその他の発達障害の方が持つ「感覚過敏」の絵本をご紹介します。
『発達凸凹なボクの世界 ー 感覚過敏を探検するー』プルスアルハ著、細尾ちあきお話と絵、北野陽子解説、ゆまに書房、2015 amazon
主人公はタクくん。
タクくんは、ざわざわする教室の声が苦手。給食も、いろんな食材が混ざった匂いで苦手です。
服もチクチクする素材が苦手で、服を脱いでいるところを、参観日でお母さんに見つかって怒られてしまいました。
担任の先生も、タクくんのつらさに気づいておらず、「できないこと」ばかりに目を向けてしまっているよう。
タクくんが、学校の中で唯一楽に過ごせる場所は、学童でした。
タクくんの普段の様子から、学童の先生は、聴覚や視覚の過敏の可能性を感じ、お母さんに伝えます。
そのアドバイスによって、お母さんはタクくんが感覚の「過敏」に苦しんでいたことを知りました。その情報は学校にも伝わり、みんなでタクくんの苦手を探し、理解を深め合ったというお話です。
感覚過敏は、「本人が感じる感覚」なので、周りの人たちにはとてもわかりくく、本人にとって非常につらい特性です。集中のしづらさ、こだわりやパニックなどの原因となることもあるのです。
それぐらい大変なことなのですが、その大変さが「目に見えない」もののため、周囲の理解はまだまだ不十分な現状があります。
また、感覚過敏だとわかったとしても、本人の我慢が足りないと評価したり、なくすように矯正しようとする働きかけが見られたりします。
感覚過敏は、無理強いしないことが原則。
原因をとりのぞくことや、その場から離れること、苦手な環境下に身を置くことを避けることが大切で、さらに「イヤーマフ」や「サングラス」など刺激を弱めるアイテムを活用することも必要なことです。
この作品を通して、どうか感覚過敏で苦しんでいる人たちへの理解と支援がすすみますように。
子どもたちとかかわる大人のみなさんには、まずは自分のために読んでもらいたい作品です。
にこっとポイント
- 自閉症やその他の発達障害の方が持つ「感覚過敏」についての絵本です。
- NPO法人ぷるすあるはは、絵本やウェブサイトなどのコンテンツ制作、普及啓発活動を通して精神障がいやこころの不調、発達障がいをかかえた親とその子どもを応援しています。精神科の看護師+医師を中心としたプロジェクトチームで、絵本の著者ユニットとしては「プルスアルハ」のカタカナ名で活動しています。
(にこっと絵本 森實摩利子)