『ふたり』瀬川康男作、冨山房、1981 amazon
ねずみを狙うねこ。逃げるねずみ。
その攻防を、なんとこの絵本では、「◯◯り」の韻を踏んだ3文字だけで表現しています。
ダイナミックな動きとコミカルな展開に、思わずくすっとしてしまいます。
まるでけんかをする誰かさんたちを見ているよう!?
ちょっとのことでわーわーとけんか。かと思えば、いつのまにか一緒に遊んで笑いあっている。全国、いや世界中のきょうだいあるあるではないでしょうか。
この一週間、風邪ぎみの子どもたちと家にこもりきりだった私には、この絵本がわが家のきょうだいに見えてしょうがありません。
一緒に遊びたいのか、下の子にちょっかいを出して、かまってかまってとからんでいくのが、ねこならぬ姉。要領よくそれをいなしながら我が道をいく、ねずみならぬ弟。
そう思うと、なんだかこの絵本が愛しくて愛しくてたまらなくなってきます。
最後の「ふたり」がじんわり効いてくる、ユーモラスであたたまる絵本です。吹き始めた北風の、カイロがわりにいかがでしょうか。
にこっとポイント
- まるできょうだいげんかを見ているような、ねことねずみの攻防を、韻を踏んだコンパクトなことばで最大限楽しめます。「◯◯り」ということばをもっと探したくなるようで、ことば遊びにも通じますね。
- 石版画で描かれた美しい絵柄と、ユーモアたっぷりの動きと展開に、大人から子どもまで「にやり」としてしまうはずです。
(にこっと絵本 Haru)