ダイエットに失敗しました。
まあまあ、いつものことなので、精神的に打撃を受けているとか、食べられないとか食べすぎるとか、そういうことはありません。
この間の『たんぽぽはたんぽぽ』の記事は、ちょうどいいタイミングで「あたしのためか」って思いました。今、「あたしはあたし」って感じです(森實摩利子さん、ありがとうございました!)。
次は、もう少しゆるい感じで、「まあ、いっか」って思える絵本が読みたいです。
直球なダイエットの絵本なんて(健康に問題はないので、体とか健康じゃないやつ。もう大人なので、成長期の説明とかもいらないです)、あるんでしょうか?
「直球なダイエットの絵本」、ありますよ!
タイトルはズバリ、『ドン・ウッサ ダイエットだいさくせん!』です。
『ドン・ウッサ ダイエットだいさくせん!』キューライス著、白泉社、2020 amazon
主人公は、立派なおひげにおしゃれなネクタイ、ウサギの大親分のドン・ウッサ。
ドンは、偶然通りかかった「イケウサギはいゆう」に目を奪われます。
「すっきりしたおかおに すらりとながいあし なんて かっこいいんだろう……。」
そして、プクプクしたおなかをなでながらこう言うのです。
「わしもやせて、あんなふうにすらっとした ウサギになりたい」
というわけで、ここから、親分の願いをかなえてあげたい、3わの子分たちのダイエット大作戦が始まります。
さて、結論から言ってしまうと、作戦はうまくはいきません。
巨大ルームランナーに、ライオンとのおいかけっこ…… 無謀すぎる子分たちのダイエット作戦とわかりやすい失敗の数々には、思わず笑いが漏れてしまいます。
それでも「笑っちゃいけない」気持ちになるのは、ドンたちがとても一生懸命だから。やるせない表情のウサギたちは、本当に愛おしいんです。
1本1本きちんと引かれた線と、ペールトーンのやわらかな色遣いも、まじめなウサギたちにぴったり。ていねいにおもしろいことを描いているギャップが、また魅力的なのです。
たとえドンがやせなくとも、エンディングは、明るく穏やかです。
晴れた空の下、おいしいサンドウィッチをほおばって、「おいしい!」「生きてる‼」と感じる喜び。ドンは子分たちが、子分たちはドンが、大好き。これ以上の幸せ、きっとありませんよね?
「まあ、いっか」というのは、それが自分であっても、他人であっても、状況であっても、「今」を認めることばだと思います。認めた後どうするのかは、改めて考えればいい。まずはドンたちと一緒に幸せを味わって、それから「まあ、いっか」と、にっこりしていただけたらうれしいです。
にこっとポイント
- 痩せてスラッとしたウサギになりたいと願う大親分のために、子分たちがダイエットのための作戦を考えます。ゆるくて笑える、そしてほのぼのとあたたかい気持ちになる絵本です。
- 表紙を開いた見返しの部分に、ウサギたちが紹介されています。ドン・ウッサの本名を見ただけで、ストーリーへの期待が高まります。
- このメッセージをくださった方は、「彼女の絵本」への掲載を希望されていました。恥ずかしさや遠慮からかなり悩まれたそうですが、その点は心配ご無用! いつもうれしく拝見しております。お気軽にお問い合わせくださいね。
(にこっと絵本 高橋真生)