「あるところに、おもちゃであそぶのにも えほんを よむのにも、すっかり あきてしまった おとこのこがいました」
『おほしさまのちいさなおうち』渡辺鉄太文、加藤チャコ絵、瑞雲社、2018 amazon
ネコの耳を触りながら、たいくつそうな男の子。男の子から、楽しい遊びはないかと聞かれたお母さんは「おほしさまのおうちをさがしてごらんなさい」と提案しました。窓も扉もない、小さな赤いおうちなのだそうです。
男の子はお母さんからもらったヒントを手がかりに、おほしさまのおうちを探す冒険に出発します。しかし途中で出会った、おどりを踊っている女の子も、農場で働いている女の子のお父さんも、何でもできるおばあさんも、だあれも知りませんでした。
でもおばあさんは、あちこちに出かけている風なら知っているかもしれないと教えてくれました。
風は男の子をくだものの森に導きます。そして風は大きなリンゴを男の子の足下に落としました。
リンゴを拾った男の子は、おほしさまの小さな赤いおうちは、もしかしたらこのリンゴかもしれないと思い、持ち帰ってお母さんに聞いてみたのです。
お母さんは嬉しそうにそのリンゴを切りました。そうしたら本当におほしさまが住んでいたのです!
この絵本は、お母さんの教えてくれる遊びは本当に楽しいものばかりです、ということばで締めくくられています。遊びをたくさん知っているお母さんも、すてきですね。
おほしさまのおうちを探してみよう
私はこの絵本を2カ所の保育園と小淵沢えほん村で読んだのですが、読んだ後に、「本当におほしさまが住んでいるか調べてきました」と言って、横にカットしたリンゴを取り出し見てもらいました。
目の前にあらわれたおほしさまに子どもたちは目を輝かせて驚き、喜んでくれました。えほん村では、大人の方々も歓声をあげられました。
リンゴは小さめの真っ赤のものを選び、事前にピカピカに磨いておきます。リンゴは縦ではなく、横にカットしてみてください。本当におほしさまがいます。
にこっとポイント
- このお話は、元々はアメリカでストーリーテラーによって語り伝えられてきたものです。このようなお話を絵本にするのはとても大変のことのようですが、みごとな展開になっています。
- 表紙から一匹のネコが登場しています。見ていると、男の子と本当に仲良しなんだ!ということも伝わります。
(寄稿:絵本専門士<東京都> 鴫原晶子)