「オオカミがやってきた!」というと、困ってしまうのは、人間や森のか弱き動物たち。でも、皆で協力して、悪者であるオオカミに打ち勝つというお話が多いものですよね。
こちらの絵本もそのタイプ。でも、読む前からなんとなくオオカミが気の毒になってしまいます。
タイトルはズバリ、『オオカミがやってきた!』。

『オオカミがやってきた!』うちだちえ作、山口マオ絵、童心社、2010 amazon
このオオカミ、目は泳ぎ、息はあがり、冷や汗もかいて、なんだかとっても大変そう…… ではありませんか?
オオカミをこんなふうにしたのは、ひつじ。
それも、山のふもとに住んで、自分たちで家を作り、畑を耕したり草を植えたりしながら、みんなで仲良く暮らしている、賢いひつじたちでした。

のどかな暮らしぶりに、「おいしそうな村」だなんておなかを鳴らしていたオオカミでしたが、オオカミが来たことを知り、ものしりじいさんの山鳩と緊急会議を開いたひつじたちに、こてんぱんにやられてしまうのです。
気軽に読めて楽しい、カラッとしたユーモア
ひつじたちは、みんなで協力してオオカミを村から追い出すわけですが、この絵本には、勧善懲悪を教えたり、力を合わせる大切さを説いたりするという空気はみじんもありません。
明るく、おおらかで、のびのびしています。
なぜかというと、オオカミのキャラクターが、人間くさくて愛嬌があるから!
この絵本のオオカミは、ひつじを食べる自分を想像しただけでニタニタしてしまったり、真っ青になって涙を流しながら逃げ出したりと、気持ちが全部外に出てしまうタイプです。
正直、というのとはまた違うのかもしれませんが、少なくとも嘘はつけない。
絵と文とでしっかりとそう描かれているので、オオカミは怖くない、愛されキャラとして読み手に受け入れられます。
また、オオカミをやっつけるひつじたちが、とても楽しそうなのもポイント。オオカミを迎え撃つ準備をしているときも、オオカミをだますときも、実にイキイキしています。
その黒い笑いは、時にオオカミよりも悪者のよう!
ひつじたちの「してやったり」というスカッとした気持ちが、絵本全体の明るさにつながっているのかもしれません。
ぜひぜひ、楽しんでお読みください。
にこっとポイント
- ひつじの村にやってきたオオカミが、あの手この手を駆使したひつじたちにやっつけられてしまうお話です。ユーモアたっぷりの楽しい絵本です。
- オオカミとひつじのキャラクターがはっきりと描かれ、共に愛嬌があるので、わかりやすく、絵本に慣れていないお子さんにもおすすめです。
(にこっとポイント)









