夏から秋へ季節が巡り、空の様子が変わってきました。
もくもくと大きく迫力のあった雲は、まるで誰かが筆で遊んで、空を撫でたかのような表情に変わりました。
特に夕焼け空はより一層に色を深め、美しい様子を見せてくれています。
今日ご紹介したいのはこちら、『そらのいろって』。
『そらのいろって』ピーター・レイノルズ文・絵、なかがわちひろ訳、主婦の友社、2012 amazon
主人公の女の子マリソルは、絵を描くのが大好き。それは、学校でも有名になるほどでした。
ある日、クラスのみんなと、図書室の壁に大きな絵を描くことになり、マリソルはうれしくてたまりません。
「あたしは、そらを かきたい!」
マリソルはいざ空を描こうとしますが、青い絵の具が見当たらない。
マリソルは考えました。そして、空は青だけじゃないってことに気が付いたのです。
この作品の見どころは、美しい空の色。
日が沈み始める頃の夕焼けから、夜の空に変化するときの色。雨が降るときの空も、青くはありません。
自分の目で見て、心で感じたら、ちがう色がみえてくるかもしれない。
絵の具の中に青がなかったのは、偶然? それとも誰かがこっそりしたことなのか?
どちらにしても、自ら気づき、考え、ひらめき、やってみることのできる、子どもの心って柔らかい。
さて、私の心はどうだろう?
空を見上げて考えてみようと思います。
にこっとポイント
- 空をかくのに、絵の具に青がなかったら? 自分の目で見て、心で感じる、子どもの心の柔らかさが描かれています。
- 主人公のマリソルは、作者の別の作品『てん』で出てくる、ラモンの妹です。マリソルの部屋の中には、「ラモン」のサイン入りの絵が、飾られているんですよ。
(にこっと絵本 森實摩利子)