この絵本は、実在のエリザベス・ブラウン(1920~1991)という女性がモデルになっているようです。
『エリザベスは本の虫』サラ・スチュワート文、デイビッド・スモール絵、福本友美子訳、アスラン書房、2003 amazon
エリザベスは「本の虫」。とにかく、子どもの頃から「本を読んで読んで読みふけった」のです。この言葉が何回も出てきます。
彼女の周りには、その年頃に興味関心を持つであろう「おもちゃ・洋服・アクセサリーなど」といったものはほとんどなく、本が次々と積み上げられていきます。それも装丁の立派な本ばかり。
ある日汽車に乗って一人旅に出かけたのですが、帰り方がわからなくなってしまいました。
でも、なんとその地に家を買って、家庭教師をしながら暮らし始めます。多分、その後生まれ育ったところには帰っていないと思われます。
美容体操をしながら本を読む、買い物に出かけても買い物リストが見つからなければ食材は買わないで本を買う…といった生活。本はますます増えていきます。
そして、晩年「持物はすべてを町に寄付をする」という手続きをしました。絵本の最後の方には【エリザベス・ブラウン記念図書館】という大きな建物も登場します。
実在のエリザベスについての詳細はわかりませんが、生まれつき本が好きだったのでしょう。本文の前にある奥付のページに「図書館司書・読書家・友人」(To the memory of the Mary Elizabeth Brown Librarian, Reader, Friend)と書かれてあります。
いったい、エリザベスはその生涯に何冊の本を読んだのでしょうか? とても気になりました。
実は、私のニッックネームの一つが「エリザベス」です。8年ほど前に「先生にぴったりの絵本を見つけました!」と学生が報告してくれました。「持っています!見つけてくれて、ありがとう」と言いましたら「さすがです!」と言われたことを思い出しました。
セットで読みたい『まなの本棚』
私の周りにいる数名の小学生(3年生以上)は『まなの本棚』(芦田愛菜著、小学館)を好んで読んでいます。本で紹介された1冊に興味を持って、単行本を購読したという報告も受けています。
『エリザベスは本の虫』と『まなの本棚』をセットにしたら、読書への興味がより深まるのでは?と思いました。
にこっとポイント
- 本を「読んで読んで読みふける」女の子の人生を描いた絵本です。
- 読書に興味を持ち始めた小学生(中学年以上)にはぴったりの絵本だと思います。
- 絵本のカバーはカラフルでワクワクしてしまうものですが、カバーを外すとびっくりする程、シンプルな表紙が現れます。
(寄稿:絵本専門士<東京都>鴫原晶子 / 保育者養成校講師 )