名前を当てるやりとりが楽しい、長く読み継がれている昔話です。
『だいくとおにろく』松居直再話、赤羽末吉絵、福音館書店、1962 amazon
流れが速く、何度橋を架けても流されてしまう川に、橋を架けることになった大工。引き受けてはみたもののできるかどうか心配になって、川をのぞいていました。そこに、大きな鬼が現れます。
鬼は、「おまえのめだま よこしたら、おれがおまえにかわって、その はし かけてやってもええぞ」と言います。大工がいいかげんな返事をすると、鬼は立派な橋をつくり、目玉をよこせと手を差し出しました。
逃げ出す大工に、「そんなら、おれの なまえをあてれば ゆるしてやってもええぞ」と鬼。
大工は、無事、鬼の名前を言い当てることができるのでしょうか?
『だいくとおにろく』の見どころはこの2つ!
1.大工と鬼六の会話と表情に注目!
この昔話の大部分は、大工と鬼六の会話で成り立っています。一つひとつの会話を丁寧にみていくと、大工と鬼六の心情が手にとるように分かって面白さが倍増します。また、松居直さんの語りを、赤羽末吉さんが見事に絵で表現しているので、両者のページごとの表情の変化もご覧ください。
2.モノクロとカラー、交互になった絵に注目!
『だいくとおにろく』は、モノクロとカラーのページが交互になっています。モノクロのページからは想像力をかきたてられ、カラーのページではその場面がより読者の印象に残ります。また、モノクロ、カラーと最初から最後まで順番に繰り返されることで、心地良いリズムが感じられます。
にこっとポイント
- 読んだ後は、すっきり爽快な気分になれます。
- 同じように、名前を当てる話には、グリム童話の『ルンペルシュティルツヒェン』(グリム著、おぼまこと絵、鈴木出版、1993)、やイギリスの民話『トム・ティット・トット』(岩崎千春著、飯野和好絵、ほるぷ出版、1992)等があります。
(にこっと絵本 SATO)