パパのあたらしいカノジョはかわってる。すっごくカッコわるいんだ。
シングルのパパと二人暮らしの女の子。パパの新しい彼女が気に入りません。
『パパのカノジョは』ジャニス・レヴィ作、クリス・モンロー絵、もん訳、岩崎書店、2002 amazon
カノジョは、チューバなんて吹いて、変な詩を読んだり、金魚にむかってオペラを歌ったりしている。なのに、今までのカノジョたちより、パパと一番長続きしている……。
パパの新しいカノジョは、まわりに流されることのない、ちょっと風変わりな、女の子にとっては自分とまったく違う人でした。
なんだか「かわってる」「カッコわるい」、パパのカノジョ。
でも、「あたしのはなしをテレビをけしてきいてくれる」し、「ひみつはひみつにしといてくれる」し、「うまく話せないときでも、口をはさんだりしない」。学校の発表会では、一番大きな拍手をするし、かけっこのゴールで、いつまでも「あたし」がゴールするのを待っています。
ちなみに、私が大好きなのは、ハロウィーンのときに一緒にブロッコリーの仮装を作って一等賞をとったところ。ユーモアもある人なんだなぁ、とくすっとしてしまいます。
女の子とパパの新しいカノジョの関係を描くストーリーに、子どもに寄り添うことがどういうことか、気づかされます。
最後にカノジョが「エリザベス」という名であることが明かされますが、彼女の行動からは、まず親になろうとするのではなくて、それ以前に一人の人間として寄り添い尊重しようとしていることが伝わってきます。
人生の中で、子どもたちがこんな人に出会えたらきっと幸せだろうな、と感じます。親でも、先生でも、友だちでも。
そして、私自身も子どもたちにとって「ちょっといいセンいってるかも」な、存在になれたら、とこの絵本からヒントをもらえるような思いです。
にこっとポイント
- タイトルに少し驚くかもしれませんが、相手を一人の人間として尊重して接するとはどういうことか、教えてくれる絵本です。心が寄り添い、信頼関係を築いていく女の子とパパのカノジョの姿に心があたたかくなるはずです。
(にこっと絵本 Haru)