『わたしのかみがた』桶勝朋巳作、ブロンズ新社、2021 amazon
わたしのかみがたに ついて おはなしします。
赤い帽子をかぶった「わたし」。帽子をとると、もじゃもじゃの鳥の巣みたいな髪に、編んだ髪を頭に巻きつけた不思議な髪型です。
「びっくりした?」― でも、この髪型になった理由があるのです。
昔は短かったり、バナナの黄色にしたり、いちごの赤にしたりしたことも。
失敗しちゃうときもあったけれど、そこには鳥が集まってきてくれました。鳥たちが安心して過ごすために、さらに髪型は変わっていきました。
「わたし」の気持ちに合わせて、変化してきた髪型は、まるで「わたし」の生きてきた歩みの歴史をあらわしているようです。
どんな髪型でも、「わたし」は「わたし」。失敗しちゃったな、という髪型になっても、とてもとても優しい声で歌ってくれる鳥さんたちに出会うこともできるのです。
気持ちのアップダウンや変化があったとしても、その一瞬ずつを愛して、どんな自分でもいいんだよ、と背中を押してくれるようなあたたかさが、この絵本には溢れています。
1ページ1ページの髪型だけでなく、服装にあらわれた「わたし」の心情や表情を、ぜひじっくりとあじわってみてくださいね。
にこっとポイント
- 銅版画で描かれた柔らかで繊細なタッチで、髪型を通した「わたし」の歩みを描いています。表情や服装、その表現の中から、自分を肯定してあげられる穏やかさを感じます。
(にこっと絵本 Haru)