『としょかんライオン』ミシェル・ヌードセン作、ケビン・ホークス絵、福本友美子訳、岩崎書店、2007 amazon
ある日、図書館にライオンが入ってきました。まわりは、おっかなびっくりです。
でも、「静かにできる、お行儀のいいライオンなら、もちろん明日もおはなしの時間にきていいですよ」ということで、おはなしを聞くのが大好きなライオンは、次の日からも図書館に来るようになりました。
ライオンは、図書館の仕事のお手伝いなどもして、だんだんと図書館に馴染み、皆に愛されていきます。
ですが、あるとき、ライオンが図書館のルールを破ってしまうできごとが起きて―。
としょかんライオンが教えてくれること― ルールについて
図書館で、ルールを守るのはなんのためでしょう?
わたしは、そこで過ごす人が居心地よく本を楽しみ過ごすため、と考えています。ルールを守ることは素晴らしいことです。まわりの人への思いやりへとつながっていますよね。
でも、このお話の中でライオンには、「図書館で走らない」「静かにする」というルールを守れないできごとがあり、その結果、図書館に来られなくなってしまいます。
このことは、ルールに縛られて苦しくなってしまわないで、とわたしたちに訴えかけてくるように感じます。
時に子どもたちにも、ルールを守れないお友だちを責めてしまう姿が見られます。もちろん、大人にだって。
そんなときは、その背景を慮る想像力や相手を思いやる心をもてたら、と思うのです。
図書館に来られなくなったライオンの姿は、ほんとうに悲しそうで胸を打たれました。
ルールによって誰かを責めてしまいそうになったとき、誰かを思いやることを思い出してみてほしい、皆が笑顔でいるために考え方を変えてみよう、そう思わせてくれるあたたかで穏やかな気持ちにさせてくれる絵本です。
にこっとポイント
- ルールを守ることは大切。でも、守れないときもある。相手への思いやりをもって、ルールを捉えていくことを教えてくれます。
- 図書館があたたかで居心地のよい場所であることを感じさせてくれる、また、人と人の心のふれあいに心が温かくなるお話です。
- ニューヨーク公共図書館の前には、2体のライオンの像があります。まるで、お話が大好きな図書館ライオンのように、みんなに愛されるシンボルになっているそうですよ。
(にこっと絵本 Haru)