初めてこの「ハシビロコウ」という鳥を見たときの衝撃は、忘れられない!
だって、ハシビロコウの周りで、騒々しく他の動物が動いても動かないのですから。
動かんのか~い! キミは、武田信玄か?― と歴史好きにはたまらないツッコミを心の中で入れた記憶があります。
では、そんなハシビロコウが主人公の絵本の紹介をしていきましょう。
『うごきません』大塚健太作、柴田ケイコ絵、パイインターナショナル、2020 amazon
ハシビロコウが池でじっとしています。
ハシビロコウがじっとしているのは、テッパン!
でも、友だちのカバくんが来ても、危険な蛇がきても動かないんです。
ゾウの鼻がバナナになっても、シマウマの模様が、渦巻きになっても、動かない。
冷静で、しかも、表情も変えない。
ここからさらに、とんでもない光景が出てきます。
ペンギンが空を飛んでいる! 横向きのワニが歩いて来る! おまけに、ナマケモノが走ってる!!
それでも動かない、ハシビロコウ。
ブレない心が素敵すぎる……。
でも、実は、突然動き出すシーンがあるのですよ~(「山が動いた」とね!)
動くときは、派手に動くのね! ハシビロコウさん。
どこで、どんな理由で動いたのか? それは絵本を読んでからのお楽しみです。
なお、図書館でハシビロコウの図鑑を借りて、調べてみても面白いですよ。
「だから、動かいないのか」と、理由を知ると笑ってしまいます。同時に、動くときの理由も面白いです。
これも、ハシビロコウが厳しい自然の中で、生きぬく知恵なのでしょう。
にこっとポイント
- ユーモアたっぷり、笑える絵本です。幼稚園、保育園で読み聞かせをしたら、子どもたちの心を掴むことまちがいなし!
- ハシビロコウが動かないのは、厳しい自然の中で生きぬく知恵。ハシビロコウについて、親子で調べる楽しさもあります。
(寄稿:絵本専門士<沖縄県> 森島幸代・えほん とんとんみーず)