あなたのことはあなたがよく知っている。あなたにできることもね。今日は自分の力を出しきれるかしら?
ファウジャのお母さんのことば
「無理だ」「やめとけ」― 何かに挑戦すると、必ず、マイナスなことばをかける人がいる。でも、あきらめずに、挑戦し続けたら?
『100歳ランナーの物語』は、自分の信念と母親のことばを信じて、最年長記録の100歳でフルマラソンを完走した、ファウジャさんの伝記絵本です。
『100歳ランナーの物語 夢をあきらめなかったファウジャ』シムラン・ジート・シング文、バルジンダー・カウル絵、おおつかのりこ訳、西村書店、 amazon
幼いころ体が弱く、医者から「もう歩けない」と言われたファウジャ。歩く練習を始めると、周りからは「無理だ!」と言われますが、5歳で歩けるようになりました。
家が豊かではないので、手伝いをすることになったときも、「手伝えない」「無理だ」ということばが投げられますが、ついに15歳ですべての手伝いを任されるように。
そして、81歳で、生まれ育ったインドから、子どもたちが暮らすイギリスに移住するときも「やめとけ!」と言われますが、やはり、ファウジャは挑戦を続けます。
忙しい家族と、通じないことば。新しい土地で慣れない日々を送る中で、ファウジャは、テレビでマラソンを見ます。
「これだ!」と思い、ターバンを頭にのせ、公園を走り始めるファウジャ。89歳で、ロンドンマラソンを完走しました。しかも、5回も記録更新をするという快挙を成し遂げたのです。
さらに、2003年、ニューヨークのマラソン大会にエントリーしますが、彼のターバンが、2001年のアメリカ同時多発テロを連想させるのか、観客から暴言が投げられました。ファウジャ自身、完走しても、うれしくありません。
でも、ここで諦めないのが、この男!
ファウジャは、次は、カナダのマラソン大会にエントリーするのです。
走っているときの彼の気持ち、考え、完走に向かって走り続ける姿は、清々しいものです。
何かに挑戦しようとしたとき、マイナスなことばをかけられたら?
自分の人生は自分で決めるもの。他人から左右されることではないと、ファウジャはその生き方で教えてくれます。
やるときまったら、前進あるのみ!
にこっとポイント
- 自分の信念と母親のことばを信じて、100歳でフルマラソンを完走した最年長記録のマラソンランナーファウジャさんの伝記絵本です。
- 「あきらめずコツコツと、努力すればよい」「自分の人生だ! 自分で決めるべし!!」ということを教えられます。
(寄稿:絵本専門士<沖縄県> 森島幸代・えほん とんとんみーず)