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かようびのよる

『かようびのよる』デヴィッド・ウィーズナー作・絵、当麻ゆか訳、徳間書店、2000  amazon

火曜日の夜8時頃。美しい月の晩に、蓮の葉に乗ったカエルたちが空を駆け巡ります。

電線に止まるカラスたちを驚かせ、夜食を食べている男性の家の外を通り過ぎ、洗濯物につっこみながらも、カエルたちは止まりません。

ほとんど文字のない絵本で、物語を語ることばはありませんが、大胆な視点とリアルな絵は、まるで映画のようで、思わず引き込まれてしまいます。

「こんなことあり得ない!」「でも、なんだか本当に起こりそう!」と信じ込まされてしまうようなマジックが、この絵本にはあるような気がします。

飛ぶカエル! その魅力

一番のおすすめポイントは、なんとも愛嬌のある、感情豊かなカエルたちです。

宙に浮き始めた時の驚いたように見開いた目。でもすぐに仲間に手を振り、さらに上へ上へとのぼっていく順応の速さ! 宙返りなんてしてみて、興奮して楽しそうな姿……。

それから夜が明ける頃、だんだんと魔法がとけてしまったように低空飛行になっていき、とうとう地面に戻ってきたときの苦々しい顔。

すいーっと空を飛ぶその感覚が、読んでいてなんとも心地よく、カエルたちと一緒に空を滑っていくような、まさに「その場にいる」という臨場感があります。

またラストには、「次の火曜日にはなんと……!」という余韻を残すユーモアがあります。

我が家では、こんなカエルたちのユーモアあふれる表情の豊かさにつられて、映画のような絵本のページをめくりながら、親子でアテレコをしてみたりします。

月の美しくのぼる秋の夜長に、ありそうであり得ない、生きものたちの夜空の飛行を楽しんでみてはいかがでしょうか。

にこっとポイント

  • ナンセンスな展開ながらも、映画の一場面のようなリアルさでお話の中に引き込まれます。ほとんど文字のない絵本であるからこそ、想像力をかきたてられます。
  • くすっと笑えるラストにも注目です。お話のさらにその先にも思いを馳せるような余韻を感じられます。
  • 1992年、コールデコット賞受賞作です。

(にこっと絵本 Haru)

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