保育士を目指す学生さんから、「保育士として知っておきたい絵本を紹介してほしい」というリクエストをいただきました。
オンライン授業が多く、少しでも自分で学びを進めておきたいという前向きな気持ちにお応えするのは、絵本専門士で、保育者養成校の講師でもある、鴫原晶子さんです。
今回はことば遊び・参加型の絵本をメインにご紹介します。
2~3歳児向けの絵本選びのポイント
赤ちゃんの成長には目を見張るものがあります。昨日までできなかったことができるようになったり、おしゃべりもスムーズになったり。
2〜3歳になると、動きもダイナミックになって、ますます目を離せなくなりますね。
幼い頃から絵本に親しんでいる子どもたちは、長いお話も集中して見るようになりますから、その成長発達や興味関心、季節などを考慮して選んでほしいと思います。
保育士を目指す学生さんが読んでおきたい2歳児・3歳児向け絵本・5選!
1.『おおきなかぶ』
『おおきなかぶ』ロシア民話、A.トルストイ再話、内田莉莎子訳、佐藤忠良画、福音館書店、1966 amazon
おなじみのロングセラー絵本です。おじいさんが植えたかぶが大きく大きくなったので、「うんとこしょ どっこいしょ」と引っ張ります。おばあさんやまごが一緒に引っ張ってもぬけません。
力を合わせて大きなかぶが抜けたときには、子どもたちから大きな歓声が上がりますよ。同じタイトルの絵本が他にもありますから、読み比べてみても面白いかもしれません。
2.『でんしゃにのって』
『でんしゃにのって』とよたかずひこ、アリス館、1997 amazon
「うららちゃんは おばあちゃんの ところへ ひとりで でかけます」から始まる絵本です。しかも、うららちゃんは一人で電車に乗って出かけるのです。
「ガタゴトー ガタゴトー」電車が停まる駅のたびにお客さんが乗ってくるのですが、それがワニだったり、クマだったり、ゾウだったり……。ワクワクドキドキしながら、おばあちゃんが迎えに来てくれている「ここだ駅」までの旅。
次の駅の名前を聞いて、想像がふくらむこと間違いなし! の絵本です。
3.『てじな』
『てじな』土屋富士夫作、福音館書店、2007 amazon
たっぷりとした髭をたくわえた手品師が表紙です。手には赤と青の輪っかを持っています。
この手品師が「あんどら、いんどら、うんどらー」とおまじないを唱えると、あらふしぎ!輪っかが増えるではありませんか。みごとなしかけ絵本なのですよ。
作者の土屋さんは「仕掛け絵本って、とても手品的です。この本も不思議がって楽しんでください」とおっしゃっています。おまじないを読んだ後に、間をおかずにページをめくると、手品の醍醐味がアップすると思います。
4.『へんてこ へんてこ』
『へんてこ へんてこ』長新太さく、佼成出版社、1988 amazon
人間は怖がって渡らないへんてこな橋を渡ると、身体が伸びてしまう、というお話です。
たとえばねこが渡ると「ねーこー」になってしまうのです。いぬが渡ると「いーぬー」に
なってしまうのですが、渡り終えると元の姿に戻ります。いろいろな動物たちが渡っていきますが、読み進めていくうちに子どもたちも一緒になって「◯ー◯ー」と言ってくれます。「次は何かな?」と楽しんで参加してくれる絵本です。
5.『あいうえおうた』
『あいうえおうた』谷川修太郎ぶん、降矢なな絵、福音館書店、1999 amazon
「あさひは あかいよ あいうえお」といった、あいうえお作文というものがあります。このテキストは一味違ったものなのですが、一通り読んだ後に、子どもたちに復唱してもらうと楽しいですよ。意味がわからなくてもことばの趣やリズムが心地よく、積極的に参加してくれると 思います。
ただ、慣れないテキストなので、読み手はしっかり練習する必要があります。そしてこの練習は滑舌がよりスムーズになる、という効果があるように感じています。ぜひ、チャレンジしてみてください。
(寄稿: 絵本専門士<東京都> 鴫原晶子 / 保育者養成校講師)