
『ぼくがここに』まどみちお作、きたむらさとし絵、理論社、2024 amazon
『ぼくがここに』は、詩人・まどみちおさんの詩を、絵本として味わい、生きることや存在することについて、宇宙規模の大きなスケールで深く考えることのできる絵本です。
ぼくが ここに いるとき ほかの どんなものも ぼくに かさなって ここに いることは できない
誰もぼくが存在することを脅かすことはできないし、わたしたちはただそこに存在するだけですばらしい。
絵を描いたきたむらさんは、まるで「大きな謎解きのをするように探り、思いを巡らした」と語ったそうです(理論社HP編集者コメントより)。
そう簡単には答えには辿りつけない― 世界について、自分という存在について、広く広く、深く深く突き詰めて考え、向き合うことのできることばが、この絵本にはあります。

何かに行き詰まったとき、生きづらさを感じたとき、そんな時にふと思い出すのは、地球の上でわたしたち一つひとつの存在が大事に守られ、確かに「ある」ということ。
大きな存在に丸ごと包み込まれて、ただそこにいてくれればそれだけでいいんだよ、と肩を抱いてくれるような感覚に、胸がじんわり温かくなります。
そして、最後に紡がれる言葉が、深く胸に沁みます。
その「いること」こそが なににも まして すばらしいこと として
にこっとポイント
- 宇宙、地球まで思考を広げ、大きなスケールでわたしたちがかけがえのない存在であることを優しく伝えてくれます。自分の居場所に悩んだとき、ぜひ手にとってほしい絵本です。
- 没後10年を記念して刊行が続く「まど・みちおの絵本」シリーズの一冊です。
(にこっと絵本 Haru)