PICK UP! 空のきれいな季節に……「飛ぶ」絵本

皆さんは、「ガレット・デ・ロア」をご存じでしょうか。

フランスの新年の行事で食される、幸せを占う伝統的なお菓子です。中には、フェーヴと呼ばれる豆粒ほどの陶器の人形が入っていて、それを引き当てた人が王冠をかぶって王様や女王様になるので、「王様のお菓子」とも呼ばれます。

最近では、12月から1月にかけて、日本でもよく見られるようになりましたね。

絵本『王さまのお菓子』の主人公は、そのお菓子に入っているフェーヴ陶器のお人形の、ミリーです。

王さまのお菓子

『王さまのお菓子』石井睦美文、くらはしれい絵、世界文化社、2021 amazon

ミリーは、「だれかを幸せにするために」、アーモンドクリームがたっぷりつまったパイの中へつめられます。

王さまのお菓子_中ページ

さて、アデルさんの家に引き取られていったミリーは、誰かを幸せにすることはできるのでしょうか?

ふんわり甘さの香るような、優しさにあふれたお話

「誰かを幸せにできるかしら」とその使命に思い悩む人形のミリー、パティシエのブランさん、ミリーの入った「ガレット・デ・ロア」を持ち帰るアデルさんに、その子どもたち。誰かを想う優しさの連鎖に、あたたかい気持ちがあふれてきます。

王さまのお菓子_中ページ2

世界各国、さまざまな伝統行事があります。私自身、子どもができて一つひとつの行事を丁寧に迎えることを意識するようになって、みなの幸せを願い、家族や仲間と過ごす時間を過ごせることに、大きな意義があると感じるようになりました。

繊細で優しい色合いで描かれた絵に、しっとりとした優しさのつまったこの絵本。ふんわりとした甘さの中に、誰かの幸せを願うあたたかさが感じられる、素敵なお菓子のような絵本です。

にこっとポイント

  • フランスのお菓子「ガレット・デ・ロワ」のフェーヴのミリーを中心に、めぐりめぐる優しさを描いたお話です。
  • 絵本の帯が王冠になっています。王様や女王様になって楽しむことができますよ。

(にこっと絵本 Haru)

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