『うみの100かいだてのいえ』いわいとしお、偕成社、2014 amazon
船の上には、女の子。人形を抱えたまま、カモメにえさをあげようとしています。
でも、「ジャプーン!」カモメの羽がぶつかって、その人形― テンちゃんは海に落ちてしまいました。沈んでいく間に、ぼうしやかばん、うわぎ、スカートなど、テンちゃんが身に着けていたものも、みんなどこかにいってしまったから大変です。
テンちゃんは、無事、船の女の子のところへ帰ることができるのでしょうか?
楽しそうな生きものとその個性的なお部屋が魅力!
海に落ちたテンちゃんは、不思議な泡の中に吸い込まれていきました。その泡の下には、なんと100階建ての家があったのです。
実は、この家には、10階ごとに、違う生きものが住んでいるのですが、絵本自体も縦開きになっていて、下に下に降りていけるように工夫されています。
たとえば、11階から20階には、イルカさんが住んでいます。
11階には、イルカ型のポストがあったり、14階では、イルカさんたちがサーフィンをして遊んでいたり、17階では、ミシンがけをしているイルカさんがいたり、19階でさばいた魚を20階で、お寿司にして食べていたり……。
よく見ると、階数の表示まで、イルカや魚を使っている等、細かいところまで遊び心いっぱいで描かれているので、ページを開ける度に、新しい発見があります。
住人は、イルカさんの他に、ラッコさん、ヒトデさん、タコさん、タツノオトシゴさん、ウツボさん……、とバラエティーに富んでいます。それぞれが、個性的なお部屋でいきいき暮らしていて、のぞくと読者もわくわくしてきます。
また、テンちゃんが、海に沈んだときになくしてしまったものを、一つひとつ手に入れていき、素敵な姿になっていくのも、見どころです。
にこっとポイント
- 詳細に描かれた各階の生きものたちが、とても魅力で、何度でも楽しめます。
- 大型絵本もミニサイズの絵本も出版されているので、用途に合わせて選べます。
- 同じシリーズの『100かいだてのいえ』『ちか100かいだてのいえ』『そらの100かいだてのいえ』『もりの100かいだてのいえ』なども、おすすめです!
(にこっと絵本 SATO)