『みんなともだち』中川ひろたか文、村上康成絵、童心社、1998 amazon
『みんなともだち』の舞台は保育園です。卒園式を目前にした子どもたちの思い出の場面が楽しく描かれています。時々、登場している子どもたちの小さな頃の様子も描かれています。
同じ場で出会って、一緒に成長してきた友達ですが、卒園式はお別れの式ではなくて、「これからもずうっとともだちだよね!」ということを確認し合うときなのだ、ということが理解できると思います。
私は、3月の年長組のおはなし会で毎年読んでいるのですが、一回目はテキスト通りに読みます。
その後「もう一回読みますね!」と言って、後ろの見返しにある楽譜に合わせて、歌い読みをします。
子どもたちは、教えなくてもくり返しの部分を一緒に歌ってくれます。みんなの気持ちが一つになった感じです。
お互いに「今までありがとう!」でしょうか。読み進めて行くうちに私がウルっとくることもあります。
「先生」といわれる仕事をしていると、毎年3月には卒園式と卒業式があります。
幼稚園では、皆2~3年の間に心も身体も大きくなり、1年生になることへの大きな期待と希望を携えて、卒園式に臨んでいます。
保育者養成校では、2年という短い期間で、講義・実技・実習という避けて通れないたくさんの課題をこなし、4月から保育者としてスタートをするためのけじめのとき、と言えるでしょう。
また、何十回もの卒園・卒業式を経験して言えることは、お子さんの成長は「先生」「お父さん・お母さん」の成長でもある、ということです。保育園は0歳から入園する子も多く、家庭の延長として先生やお友達と長い時間を一緒に過ごす場です。保護者の方々同様に、先生方も子どもたちの成長した姿に感無量であることでしょう。
子どもたちがしっかり土地に足をつけて、ますます大きく成長することを願ってやみません。
そんな思いにさせてくれる絵本です。
にこっとポイント
- 卒園式はお別れの式ではなくて、「これからもずうっとともだちだよね!」ということを確認し合うときなのだ、ということが、子どもたちに伝わりす。
- 大人としては、子どもたちがしっかり土地に足をつけて、ますます大きく成長することを願わずにはいられなくなるような絵本です。
- 普通に読んでも、後ろの見返しにある楽譜に合わせて歌い読みをしても楽しめます。
(寄稿: 絵本専門士<東京都> 鴫原晶子 / 保育者養成校講師)