『ロッテ おひめさまになりたい』ドーリス・デリエ作、ユリア・ケーゲル絵、若松宣子訳、理論社、2004 amazon
ある朝、お母さんがロッテを起こします。「さあ おきて」「はやく じゅんびして」急かすお母さんをよそに、ぐずぐずするロッテ。やっと着替えると思ったら、なんと今日はドレスを着ていきたいと言い出す始末です。
外で雪が降っていても、ロッテはどうしてもドレスを着たい気分なのです。とうとうお母さんは大爆発しますが、ロッテだって負けません。冠までかぶってようやく歯を磨き出したロッテは、お母さんにある提案をします。
さあ、職場と保育園に向かう母娘、この後どうするのでしょう。
「こうあるべき」から自由になってみたら?
今日はこの服が絶対着たい事件― 「あーもう、お願い!」「あと5分で8時よ!」なんて朝の修羅場の中で、これを経験したことのある親御さんは少なくないのではないでしょうか。
「今日は寒いよ」「汚れちゃうよ」「場所に合わないよ」「柄& 柄になっちゃうよ……」どんなになだめすかしても、子どもって頑として譲らないことがありますよね。
さて、ロッテの「今日はドレスの気分」に直面した時、お母さんはどうしたのでしょうか。
もちろん、大爆発します。まさに口から火を吹くほどに。でも、最後には、ロッテの提案で親子そろってドレスと冠を身につけて外へ出かけるのです。
素敵なものを身につけたらウキウキするし、なんだかにっこりしてしまう。この絵本のロッテ親子の姿は、そんな気持ちを子どもと一緒に純粋に楽しむのも悪くないな、と思わせてくれます。
遅刻したっていいじゃない。職場に、学校にドレスを着て行ったっていいじゃない。そんな日もあったっていいよね。世の中の「こうあるべき」という常識から少しくらい逸れてもいいんじゃないかな、と心の緊張をふっと解いてくれるような絵本です。
にこっとポイント
- 時間に追われていても、一度立ち止まって子どもの気持ちと向き合うことを教えてくれます。
- 世の中の常識やルールを少し飛び越えて、自分の好きなことを大切にしよう、と思わせてくれます。
- 今日は気分がのらないな、という時、素敵なものを身につけて気持ちをあげてみるのもいいですね。
- 4歳娘も、一晩に4回も読んでとせがむ程お気に入りの絵本です。お子さんたち、特に女の子が共感できるはずです。
(にこっと絵本 Haru)