『しましましましょ』北村人、小学館、2021 amazon
カラフルなシマウマがねこと出会います。
「ねこさん しましましませんか」「しましましましょ しましましましょ」
するとねこは、カラフルなしましまねこに変身します。
「ニャーニャー すてきな しましま ありがとう」
おかさなさんも、草も木も、ザーザー雨も「しましましましょ」。
くり返される「しましましましょ」の響きと鮮やかな色彩が楽しい絵本です。
しましまシマウマは、現実も飛び越える
ところでこの絵本、シマウマが行く先々を、カラフルなしましまに変えてしまうのですが、
「みんなも しましま たのしいね」
と書いてあるわりに、実はみんなそれほど楽しそうではありません。
びっくりしている人が多く、怒っているのか、そもそもしましまに気づいているのか…… と思うような無表情な人もいます。
終盤、「しましましましょ」の文字はどんどん大きくなっていき、シマウマは、もはや現実をも軽々と飛び越えてしまう、不思議な存在に見えてきます。
シュールでどこかユーモラスな雰囲気も、この絵本の魅力だと思います。
お絵かき遊びの前に! クレヨンの質感を楽しんで
『しましましましょ』は、保育園・幼稚園、それからおうちでのお絵かき遊びにぴったりです。
特に園では、遊びの中に、クレヨンを使った運筆の練習を組み込むこともあるかと思いますが、その導入にもおすすめです。
たくさん線を書きたくなる、たくさんの色を使いたくなる、そして、頭に残ってつい口を突いて出てくる「しましましましょ」。
読み聞かせの後は、ぜひ自由に見させてあげてください。近くで見ると、クレヨンの独特の質感やほかの画材との違いが、よりはっきりとわかります。紙のマットなさわり心地も手伝って、なんとなく指で触りたくなるような気がします。
小さい子の中には、絵本の絵は特別な道具で描いているものと思っている子もいるのですが、自分も知っている画材だと「これクレヨンでかいたの?」「おんなじー!」と喜んだりびっくりしたり、やる気が出たり…… 絵を身近に感じられるようです。
この絵本を読んだ子どもたちがどんな物、どんな世界をしましまにするのか、楽しみになりますね。
ボーダー好きなあの人にも……
ボーダー好きの私の知人は、『しましましましょ』をお部屋に飾っています。絵本をちらちら見ながら、次はどんな色の組み合わせのボーダーTシャツを買おうか考えるのを楽しんでいるそう(「しましましましょTシャツ」ができたらいいのに! )。
明るい色のカジュアルなしましまと、ちょっぴりシュールな味わいは、大人のしましま好きにも喜ばれそう。プレゼントにもおすすめです。
にこっとポイント
- くり返される「しましましましょ」の響きと鮮やかな色彩が楽しい絵本。シュールでどこかユーモラスな雰囲気も、魅力的です。
- クレヨンを使ったお絵かき遊びの導入にもおすすめです。
(にこっと絵本 高橋真生)