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北欧には、トロルという魔物がいると言われています。

三びきのやぎのがらがらどん

『ノルウェーの昔話 三びきのやぎのがらがらどん』マーシャ・ブラウンえ、せたていじ訳、福音館書店、1965  amazon

三びきのやぎたちは、おいしい草を食べるために、恐ろしいトロルがいる川にかかる橋を渡らなければなりません。

一番小さいやぎから渡りますが、予想通りにトロルが現れて「おまえをくってやる!」と襲いかかろうとします。

しかし小さいやぎは、「この次にくるヤギはもっと大きいから……」と言って難を逃れます。

次のやぎもトロルに襲われそうになりますが、同様にこの後もっと大きいやぎが来る、と伝えて無事に橋を渡ります。

さて、その次は?

一番大きいやぎが大活躍するおなじみのお話ですから、もうおわかりですよね。

三びきのやぎのがらがらどん_中ページ

ノルウェーのがらがらどん

最近、児童文学者である斉藤惇夫先生の講演を伺いました。

斉藤先生が、以前ノルウェーに行かれたときのことを話されたのですが、ノルウェー語は全くわからないけれども、どうしても現地の言葉でこの「三びきのやぎのがらがらどん」を聴きたいと思ったそうです。

そこで、ノルウェー語が堪能な日本人のガイドさんに、ノルウェーの昔話集に収められているがらがらどんの朗読を依頼しました。

するとガイドさんは、「いかにうまくノルウェーの言葉で語ったとしても、朗読したとしても、どこか、ノルウェーの方の語りとは違う」ということで、それをバスの運転手さんにお願いしたのだそうです。

そうしたら、運転手さんは大笑いして

ノルウェーの父親で、「三びきのやぎのがらがらどん」を自分の子どもに語れない父親は一人もいない

と言われたとか。

そして、本を朗読するのではなく、実際に語って(何も見ずにお話をして)くれました。

すてきなお話ですね。

このエピソードに関しては、斉藤先生のご本『現在、子どもたちが求めているもの― 子どもの成長と物語―』のに詳しく書かれてあります(26ページから始まる「ノルウェーでの経験から」をご参照ください)。

ちなみに、日本語の絵本では、やぎが橋を渡るときの音は、タイトルにある「がらがらどん」のほか、「かたこと」「がたごと」など三つの種類があるですが、ノルウェー語ではすべて「トリップ トラップ」ただ一つの語で表現するのだそうです。

昔話と「3」という数字、それから長男と三男

「3」と言う数字は昔話によく出てくる数字です。たとえば「さんまいのおふだ」に「三年寝太郎」…… 中でも、三人兄弟のお話はたくさんありますね。「さんびきのこぶた」「イワンのばか」などがよく知られています。

この『三びきのやぎのがらがらどん』もタイトルを見たらわかるように「3」に関わる物語です。

ところで、三人兄弟のお話しのほとんどは三男が勇気と知恵を持って活躍しますが、これは一番大きいやぎが活躍をするお話です。姪の長男は、3歳の時にこの絵本にはまりました。その理由を聞くと「とにかく大きいやぎがかっこいい!」のだそうです。

にこっとポイント

  • 3匹のやぎとトロルの勝負にハラハラする、50年以上にわたって世界中の子どもたちに愛されている絵本です。日本では1965年初版、アメリカでは1957年に出版された正真正銘の古典絵本と言っていいでしょう。

(寄稿: 絵本専門士<東京都> 鴫原晶子 / 保育者養成校講師)

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