PICK UP! 空のきれいな季節に……「飛ぶ」絵本
わたしのそばできいていて

『わたしのそばできいていて』リサ・パップ作、菊田まりこ訳、WAVE出版、2016 amazon

文字を読むことに苦手意識を持っている、女の子のお話です。

こくごのじかんなんて だいきらい
だって わたしが まちがえたり つっかえたりすると
みんなが クスクス わらうから

先生がくれるのは「がんばりましょう」のハートのシール。だけど、マディが欲しいのは、「たくさん本を読める子」という意味の、星のシールなのでした。

ある日、お母さんはマディを図書館に連れていきます。

図書館のテンプルさんが案内した部屋には、犬がたくさん。

ここでマディは、ボニーというシロクマみたいに大きくて真っ白で、ふわふわな犬と出会います。

テンプルさんは、ボニーに本を読んであげてほしいと、マディに頼むのでした。

間違えたりつっかえたりしても、ボニーはただまっすぐとマディを見つめ、膝に大きな前足をのせて、ことばが出てくるのをただじっと待ってくれるのです。

さて、マディがみんなの前で本を読む日がやってきました。

やっぱりつっかえたりしたのだけれど、いつものように、ボニーが側にいると思って読んだら、先生はついに「星のシール」をくれたのでした。

自分に自信を与えてくれる存在がいると、世界はがらりと変わるものです。

マディとボニーの出会いは、本当に大きなものでした。

米国やヨーロッパの図書館には、実際に犬がいるのだそうです。日本でも、2016年から東京都の三鷹市立図書館で、「わん! だふる読書体験」の愛称で実践されているそうです。

犬は間違いを指摘することはありません。どんな様子もそっと見守り、寄り添ってくれるのです。

まちがったって、ゆっくりだって、だいじょうぶなんだよ

私も、ボニーのような存在で寄り添いたいと思うのでした。

にこっとポイント

  • 文字を読むことに苦手意識を持っている女の子と、本を読んでくれるのをじっと聞く、図書館の犬のお話です。
  • 「間違えることを気にしなければ、本を読むのってとても楽しい」というマディのことばにハッとしました。「わん!だふる読書体験」ような活動が、日本中の図書館で開催されるといいなと思います。

(にこっと絵本 森實摩利子)

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