『ちょっとそこまでぱんかいに』の主人公は、自転車の補助輪がとれ、うれしくてたまらない「わたくん」です。
『ちょっとそこまでぱんかいに』山下明生作、エム・ナマエ絵、サンリード、1981 amazon
わたくんは、お母さんに「ぼく、じてんしゃで おつかいに いってあげる」と言うと、ヘルメットをかぶり、自転車にまたがって、さあ出発! 自転車をびゅうびゅうとばします。
走る道すがら、「おや わたくん、どこ いくの?」と聞かれるたび、わたくんは答えます。「ちょっとそこまで」「なにしに?」「ぱん かいに」
さて、わたくんは、どこまでパンを買いに行くのでしょうか? 想像を超えた展開が待っています。
「どこまでも行ける!」そんな感覚を楽しもう
坂を下り、踏切を超えて、国道に、それから……。その疾走感や、自転車に乗れたときの世界が広がった感じが、わたくんを通してとてもよく伝わってきます。だから、わたくんの驚くような冒険も、わたくんと一緒に楽しむことができます。
また、特徴的な絵の、色遣いにも工夫があります。地図のような街並みはモノクロで、わたくんや自転車、わたくんと出会ったものや空は、カラーで描かれています。そのため、カラーの部分が、とても心に残ります。
自転車に乗る練習をしている子や乗れるようになったばかりの子、自転車に乗れてうれしかった思い出のある全ての人に、おすすめの絵本です。
にこっとポイント
- 自転車でどこまでも走っていけそうな感覚を、主人公と共有でき、冒険できる絵本です。読み終わった後、自転車に乗って出かけたい気分になります。
- 「どこまでも自転車で走っていけるとしたら、どこまで行きたいか」など、想像してみても楽しいですよ。
(にこっと絵本 SATO)