この絵本の表紙には、水色のプレゼントボックスから、ふたを少しだけ開けて外をのぞいている、くまのぬいぐるみが描かれています。

『くまのルイス』トム・リヒテンヘルド文、ジュリー・ローウィン・ゾック絵、木坂 涼訳、BL出版、2021 amazon
このくまが、絵本の主人公「ルイス」です。
よく見ると、ルイスが入っている箱の赤いリボンは、タイトル『くまのルイス』の「ル」の部分に引っかかっていて、ルイスは、読者に向かってウインクをしています。
「どんなお話かな?」と期待させ、わくわくさせる、ユーモアセンスを感じます。
ページを開くと、「ぼくは くまの ルイス。この いえに きた ひ から… いいこと なんか なんにも ない!」と、いきなり始まるルイスの文句。
驚きながらも、まずはルイスの言い分を聞きましょう、と読み進めると、「てすりを すべらされるし… まくらじゃないのに、まくらに されちゃう」と、ルイスは言い募ります。
ほかにも、ティッシュのように使われたり、恐竜のえさにされたりなど、次から次へと出てくる、持ち主に対する苦情の嵐。
ルイスは、こんなこともあんなこともされたと必死に訴えかけてきますし、その場面を見てみると、実際困ったり怒ったりしているのですが、「ああ、同じようなこと、私も大好きなぬいぐるみにしたことある!」と思い当たって、クスッと笑ってしまいました。
さて、とうとう我慢できなくなったルイスは、家出を決意します。
ルイスは、本当に家を出て行ってしまうのでしょうか? ぜひ、絵本を開いて、確認してみてください。
にこっとポイント
- ぬいぐるみのくま・ルイスの、持ち主の男の子に対する文句や思いを、ユーモラスに描いたお話です。
- 家族や友だちのようなルイスとその持ち主の関係性に、あたたかい気持ちになります。
- 絵もかわいく、縦22.7cm×横22.7cmと手に取りやすいサイズで、ぬいぐるみを卒業した年齢の方も、手元に置いておきたくなる絵本です。
(にこっと絵本 SATO)