自分が生まれる前の「ママ」を、イメージしたことありますか?
『ボタン』森絵都文、スギヤマカナヨ絵、偕成社、2013 amazon
クローゼットの奥にしまってある、あたしの大好きな箱。その四角い大きな缶の箱のふたを開けると、ボタンがいっぱい! 赤いボタン、青いボタン、黄色いボタン、星型、ハート型、動物型……いろんな形のいろんなボタン。
これは、若い頃、洋服づくりが好きだったママが、集めたもの。古い洋服を手放す時でも、ボタンだけは残してたんだって。
「どんな ふくに ついてたのかな?」葉っぱのボタンを見ながら、想像してみる。「もりみたいな みどりいろの ワンピース? それとも、おはなもよう?」― イメージが、どんどんふくらんで、「あたしの ママじゃ なかった ころの ママ」も見えてくる。
「ママ」と「あたし」をつなぐ、ボタンの物語。特に、女の子におすすめの一冊です。
「ボタン」からイメージした、様々なママの服が魅力的!
自分が生まれる前の「ママ」のこと、想像したことありますか?
ママにも、若い頃があって、初めてのデートにわくわくしたり、いろいろな服を着て、泣いたり、笑ったり。「あたし」がボタンからイメージするママの姿は、自由でユーモアもあって、読者も、とても楽しい気分になります。
いろいろな想像をしながら、じっとボタンをみていた「あたし」に、ママがとびっきりのプレゼントをしてくれるのですが、それがまた、すごく素敵なんです!
読み終わった後、自分の「ママ」の若い頃も、イメージしたくなる愛情たっぷりの絵本です。
にこっとポイント
- 母と娘の心のつながりを、強く感じることのできる物語です。
- 表紙には、ボタンの缶のふたが描かれていて、絵本を開くと、読者もふたを開けた感覚になるよう工夫されています。
- 森 絵都さん&スギヤマ カナヨさんコンビの絵本には、他に『ぼくだけのこと』が出版されています。
(にこっと絵本 SATO)