お馴染みの五味太郎さんの作品です。表紙には「ふたご?」と思われるような二人の女の子がいて、一人は自信に溢れている感じ。後ろにいる女の子は少しオドオドしている感じが見受けられます。
『わたしとわたし』(「かがくのとも」2018年1月号)五味太郎作、福音館書店
お話は、こんなふうに始まります。
「いただきまーす! あさごはんは いつもおいしいね とおもうわたし」
「でもほんとうは おかしたべたいんだよね… なんておもっている もうひとりの わたし」
ん? なんだ、この絵本は⁉ と思いましたが、読み進めていくと、建前と本音がかわりばんこに描かれていることに気づきました。
これは、子どもだけではなく私たち大人も経験したことがある思いではないでしょうか。
ところがそのうちに、建前と本音が逆転し始めるのです。
赤ちゃんや友だちとの交わりを通して、いろいろと考えていく女の子。
最後に「そういうことに きがついたわたしはえらい!と おもうもうひとりの わたし!」― これに気づいた女の子は本当に偉い!! と思いました。
大人の方もぜひ! 読んで振り返りをして、自身の言動を見直してみたら?…… などと偉そうなことを思った私です。
にこっとポイント
- 建前と本音がかわりばんこに描かれている絵本です。久しぶりに、面白い絵本に出会いました。月刊かがくのともの一冊です。
- 保育園の年長クラスで読んだのですが、理解してくれたかどうか? 小学生向けかもしれません。
- 残念ながら、現在は品切れのお店が多いようです。図書館等をご利用の場合は、福音館書店の月刊誌「かがくのとも」2018年1月号でお探しいただくと、見つかりやすと思います。
(寄稿: 絵本専門士<東京都> 鴫原晶子 / 保育者養成校講師)